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アミラーゼ

アミラーゼとは?この重要な消化酵素について調べています。

アミラーゼとは

アミラーゼとは、すい臓(P型アミラーゼ)と唾液腺(S型アミラーゼ)から分泌される酵素。つまり、人体にもともと備わっている酵素なんです。別名として「ジアスターゼ」と呼ばれる場合もあります。

ナビゲーターイラストアミラーゼは、栄養吸収をスムーズに行うために欠かせない消化酵素のひとつです。白米などの炭水化物に含まれる「でんぷん」を、ブドウ糖へと分解します。白米をゆっくりと噛んでいると、次第に口の中で甘味が感じられるようになります。この現象は、唾液腺から分泌されたアミラーゼの働きによるものなのです。

また、アミラーゼの働きのおかげで、胸やけや胃もたれを予防することもできます。

しかし、アミラーゼは分泌器官(すい臓または唾液腺)に問題があると、体内で過剰に発生して血中濃度が上がります。とくにすい臓は、炎症やがんに発展する可能性も多くなるので、注意が必要。血中のアミラーゼ値は、すい臓疾患の検査のために、重要な指針となっています。

消化酵素アミラーゼの2つの働き

アミラーゼは、人間が生きていく上で必要不可欠な消化酵素のひとつです。人間は食べたものを分解し、より小さな栄養素にする工程を挟むことで、初めて栄養を吸収できます。消化を助けるアミラーゼが持つ、2つの働きについてまとめました。

1.でんぷんをブドウ糖へと分解して栄養吸収をスムーズにする

アミラーゼは、三大栄養素のひとつである炭水化物をより小さな形に分解する消化酵素です。[注1]

白米などに含まれる炭水化物は、体内では「でんぷん」の大きなかたまりになっています。このままでは、大きすぎて胃や腸を通じて栄養を吸収することができません。そこで活躍するのがアミラーゼです。唾液やすい臓から分泌されたアミラーゼは、大きな炭水化物のかたまりを、ブドウ糖やマルトース(麦芽糖)へ分解します。

ブドウ糖はとても小さいサイズなので、腸管等を通じて吸収し、血流に乗せて全身の筋肉や肝臓、脳などの各気管に行き渡らせます。イメージとしては、そのままだと玄関を通らない大きな家具を、分解して家の中に入れる考えです。

しかし、消化酵素アミラーゼの力でパーツごとに分解すれば、狭い気管の中に入れることができるようになります。消化酵素は、いわば家具を分解するためのドライバーのようなものです。

大切なのは、アミラーゼがでんぷん(炭水化物)の消化をスムーズにしている点です。もし、アミラーゼが十分に分泌されていなければ、消化不良や胃もたれを起こしてしまいます。白米やうどんなど、炭水化物が多い食べ物を食べた際、でんぷんを小さなブドウ糖に分解できなければ、胃液で無理やり消化するため、身体に負担がかかります。

胸やけ・胃もたれの原因と予防

でんぷん(炭水化物)の消化酵素であるアミラーゼは、胸やけや胃もたれの予防に効果的とされています。

そもそも、胸やけや胃もたれは何故起きるのでしょうか。胃は、24時間いつでも活発に働き、胃酸を分泌していません。胃の中に食べ物が入ってきたとき、食べ物を消化して十二指腸に押し流すのが胃の仕事です。そのため、食事をはじめると胃は活発にぜん動運動を行い、胃酸の分泌をはじめます。ただし、何らかの理由で胃酸が食道を逆流すると、強い酸が食道にダメージを与え、「胸やけ」症状を起こしてしまいます。

また、ストレスや疲れで胃腸の働きが弱くなり、食べてすぐに運動をしたり、熱いお風呂に入ったりすると、胃が食べ物を十分に消化できません。胃の中に食べ物が残っていると、消化が終わるまで延々と胃を動かし、胃酸を分泌しつづけなければならないため、胃の不快感が生じます。こうした違和感や不快感が、胃もたれです。[注2]

アミラーゼの分泌量が不足していると、でんぷん(炭水化物)が消化できず、結果として胸やけや胃もたれを引き起こします。そのため、心身的なストレスを与えないことが大事です。

たとえば、お酒を飲む人であれば休肝日をつくり、胃をやすめたり、胃腸薬を服用したりと予防の仕方はさまざまです。[注3]

また、アミラーゼは市販でも購入することができ、アミラーゼの摂取は、胸やけや胃もたれを予防してくれるでしょう。

アミラーゼの名前がさまざまに変換されているケースもあります。

アミラーゼの数値で分かること

アミラーゼの数値は「すい臓が正常に機能しているかどうか」を示すものです。

アミラーゼはすい臓で生成されているため、すい臓の機能が低下するとアミラーゼの値は基準値を下回ります。基準値を上回る場合は、すい臓に何らかの異常が起きてアミラーゼが血中に漏れ出している可能性が高いです。

アミラーゼが血中に漏れ出た理由として考えられるパターンは主に2つ。1つは、すい臓が炎症や肝臓がんなどの病気によって受けたダメージが原因でアミラーゼが漏れ出してしまうケース。もう1つは、臓器ダメージによる排泄機能の低下が原因で、尿として排泄されるはずのアミラーゼが血中に流れてしまうケースです。

健康診断でアミラーゼの値が基準値を超えた場合は、過剰摂取ではなく「すい臓が悲鳴を上げているサイン」であることを覚えておきましょう。

因みに、基準値は検査方法によって異なります。

  • 血液を採取して調べる際のアミラーゼ基準値…40~132 U/L
  • 尿検査で調べる際のアミラーゼ基準値…100~1,100 U/L

アミラーゼ数値が変動する原因

アミラーゼの値が低い(すい臓の機能低下)場合
考えられる原因 発症しやすい病気
・体調不良
・アルコールの過剰摂取
・高脂肪食品中心の食生活
・カフェインの摂り過ぎ
・過度なダイエット(栄養不足)
・慢性膵炎
・肝硬変
・糖尿病
アミラーゼの値が高い(血中にアミラーゼが漏れ出す)場合
原因 考えられる病気
・過労
・ストレス
・暴飲暴食
・生活習慣の乱れ
・喫煙
・急性肝炎
・慢性肝炎
・胆石症
・腎硬化症
・腎不全
・腸閉塞
・胃潰瘍
・腹膜炎
・耳下腺炎

アミラーゼ数値が高い場合と低い場合、どちらの発症率も高いのが「慢性肝炎」です。気づかれにくい病気ですが、炎症が初期の段階はアミラーゼの数値が一時的に高くなり、炎症が悪化するとアミラーゼが基準値以下になると言われています。

アミラーゼの数値を正常値に戻す方法

アミラーゼの数値が基準値外だった場合、まずは病気を発症していないか精密検査を受けましょう。

慢性膵炎の場合は検査を受けても見つかりにくいため、数値異常の原因が分かるまで複数の病院で検査を受けることをおすすめします。

また、日頃の生活習慣の見直しも欠かせません。暴飲暴食を避けてすい臓への負担を軽減しつつ、不足しているアミラーゼを効率よく摂取する必要があります。治療を受けたり薬を飲んだりしても、生活習慣の見直しやアミラーゼ量が足りないままなら、再度異常値になる可能性や病気の再発率が高いことを覚えておきましょう。

アミラーゼ数値の増減で発覚した病気の事例

正しい知識を持ち、アミラーゼ数値に気をつけていないとどのような事態が起こるのでしょうか?アミラーゼ数値がサインとなる病気の事例をご紹介いたします。

【ケース1:特発性膵炎】

体験者:30代 男性

彼の身体を襲ったのは、「特発性膵炎」という原因不明の慢性型膵炎です。発症後、自分の病気を突き止めるまでに数々の病院をまわる羽目になりました。

肥満ではなく細身の体形。食生活においても問題はなし。仕事が忙しい時期は、つまみ程度の夕食とビールで済ませていたこともあったようですが、あくまで深酒はしなかったそうです。過去に入院した経験もたった1度だけという健康体。

そんな彼が、ある日を境に食後の腹痛に襲われるようになりました。症状はどんどん激しくなり、お腹から背中までを駆け巡るような激しい痛みが続いたそうです。眠れない日々が続き、食事をすることに恐怖を覚えるまでになっていました。

病院で検査を受けて得られた情報は「他の人より少しだけアミラーゼ値が高い」だけ。異常値というほどの数値でなく、そのほか問題も見つからなかったため、医師はお手上げ状態。処方された痛み止めを服用したものの、症状が改善されることはなく苦しむ日々が続きました。

何件もの病院をまわった彼は、ある日「ERCP」という検査を受けることになります。ERCPとは、胃カメラのようにのみ込んだ管を通して造影剤を注入し、すい臓を診る検査です。この検査を受け、ようやく彼が「特発性慢性膵炎」だということが判明しました。

CTや超音波検査では、初期の膵炎が見つかりにくい傾向があります。また、ERCP検査を受けても、腫れていなければ見つかりにくいのが現状。見た目の変化が少ないにもかかわらず、発症した人は激しい痛みに悩まされるのがこの病気の厄介なところです。

【ケース2:慢性膵炎】

体験者:40代 女性

彼女は、みぞおち周辺と左肩甲骨付近の慢性的な痛みに長年悩まされていました。会社の健康診断でアミラーゼとリパーゼの数値が引っかかっていたので、総合病院で診てもらうことに。

尿検査、血液検査、腹部エコー、CT検査なさまざまな検査を受け診断された結果は「慢性膵炎」でした。医師は「飲酒と脂肪分の高い食事を控えてください」とだけ彼女に告げました。しかし、彼女はもともと飲酒と脂っこい食事をそれほど好まないタイプだったため、疑問を覚えたそうです。

その後は処方された薬を服用して一時的に痛みは消えたものの、1年後に再発。「同じ薬を飲んでもまた痛みが再発したら嫌だな…」と考えた彼女は、さまざまな治療法を試すようになります。最終的に効果があったのは、10時間の気功治療だったそうです。彼女いわく、10時間の治療にも耐えられるほど、慢性膵炎の痛みは酷かったとのこと。

「突発性膵炎」や「慢性膵炎」の発症には、精神的な影響も大きく関係しているとされています。しかし、膵炎は基本的に消化器科で診られるため、精神面の配慮はないケースがほとんど。「病気がなかなか見つからない」「医者から本当に痛いの?と疑われているような感覚に襲われる」など、精神的負担が相まって症状が悪化する人もいるようです。

アミラーゼを含む食品

アミラーゼは、もともと人体に備わっている酵素ではありますが、食生活の中で食品から摂取することもできます。

【どんな食品がアミラーゼを含む?】

  • ■果物全般
  • ■野菜…長いもなどのイモ類、豆類、ニンジンや大根などの根菜がおすすめ。
    他にもキャベツやほうれん草、かぼちゃ、オクラなどにも含まれる。

アミラーゼを含む食品は以外にも身近なものばかり。野菜の成長や果物が熟していく過程で生まれる「甘み」は、消化酵素・アミラーゼの働きによるものなんですよ。

たくさんの食品に含まれているアミラーゼですが、ひとつだけ弱点があります。それは「熱に弱い」ということ。アミラーゼに限らず酵素全般に言えることですが、調理方法に気をつけなければせっかくのアミラーゼは壊れてしまいます。

サラダにして食べることもできますが、生で毎日摂取できる量には限界があります。加熱調理した野菜は水分が抜けてギュッと縮んで食べやすい量になりますが、同じ量を生で食すとなるとかなりの量に…。また、アミラーゼが多く含まれる野菜は「根菜」をはじめとする硬い食品。加熱処理をしたものと生とでは食べごたえも違うため、すぐにお腹がいっぱいになってしまうでしょう。一見、食生活がきちんとしている人でもアミラーゼ数値に増減が見られるのはそのためです。

非加熱処理の食品摂取だけで足りないアミラーゼ量を補うには、補助食品を上手に使うのがおすすめ。バランスよくアミラーゼ量をコントロールしていきましょう。

[注1]公益財団法人 日本豆類協会:豆の主な栄養素

[注2]漢方のツムラ:胃もたれ

[注3]佐藤製薬:胃の痛み・胸焼け