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プロテアーゼ

プロテアーゼとは~消化酵素の頼れる力~

ここでは、プロテアーゼの特徴を紹介していきます。

タンパク質を分解する酵素

分子

プロテアーゼとは、タンパク質を分解するための消化酵素です

プロテアーゼは、細かく分類していくと「アクチニジン」「フィカイン」「パパイン」「ブロメライン」など様々ありますが、これらはすべてプロテアーゼとして括られています。

タンパク質は、アミノ酸がペプチドと呼ばれる物質によって結合されているもののことを差します。

これをペプチド結合といい、このペプチド結合を分解してアミノ酸にするのがプロテアーゼです。

プロテアーゼによってタンパク質が分解されることで腸内での消化が促進されます。

人体にとっても重要な消化酵素の一つなのですが、プロテアーゼは他にも様々な用途に活用され、我々の生活において大きな助けとなっています。

プロアテーゼが不足すると生まれる悩み

1.タンパク質不足になる

プロアテーゼが不足すると、身体はタンパク質を欲しがるようになります。タンパク質は身体に欠かせない成分ですが、タンパク質だけを好むようになると肝臓や腎臓に負担がかかるため注意しましょう。

2.便やガスが溜まりやすくなる

プロアテーゼはタンパク質の消化を助けてくれる酵素。それが不足すると、必然的に消化が悪くなります。消化されなかったタンパク質は身体に溜まり、腐敗してガスを生む仕組み。便秘もガスと同様に、腸に溜まった老廃物とガスでお通じが阻まれるのです。

3.血管に関する病気の発症率が上がる

プロアテーゼが不足すると、カルシウムの血液濃度が上昇。その結果、高血圧や心疾患など血管に関する病気の発症率が上がるといわれています。

4.精神が不安定になりやすい

一部ではプロアテーゼ不足が原因で、不安恐怖症の症状が表れたり、ストレスが溜まりやすくなったりするといわれています。これは、プロアテーゼによる血液のアルカリ濃度への作用が影響していると推測されていますが、詳しい原因は分かっていません。

5.老廃物が溜まりやすくなる

プロアテーゼはタンパク質以外にも様々なものを分解してくれます。例えば、体内で免疫細胞と戦ったウィルスの死骸やアレルギーの原因、血栓などを分解してくれる優れもの。そんなプロアテーゼが不足すると、血中に老廃物が溜まりやすくなってしまうのです。

6.慢性炎症に悩まされる

炎症を除去する作用を持つプロアテーゼが足りなくなると、関節痛や肩こりなどが慢性的に起こりやすくなります。

胸焼けや胃もたれにも効果がある

プロテアーゼによってタンパク質の消化が促進するとどうなるかといいますと、胃腸の負担が大幅に下がります。 胃腸による消化は体内の中でも非常に多くのエネルギーを消費する行為であり、胃の中で5時間、小腸の中で8時間ほど時間をかけてゆっくりと消化します。

消化に伴い消費するエネルギーはフルマラソンに匹敵するほどといわれており、食べれば食べるほど消化にかかるエネルギーは増えます。中でも、肉類の消化は約24時間以上かかるとされており、食べすぎることによって消化不良を起こし、胃もたれや胸焼けを起こしやすくなってしまうのです。

そして、それらを解決してくれるのが、プロテアーゼです。

サプリメント、あるいは食品でプロテアーゼを摂取することで、胃腸内の肉類の分解を促進し、胃腸内の負担を大幅に減らしてくれます。

化粧品や洗剤にも利用されています

プロテアーゼは、食品以外にも多く利用されています。中でも最たるものは、化粧品や洗剤です。

テレビのコマーシャルなどで「酵素パワーで汚れを分解」という言葉を聞いたことがないでしょうか。あれは、酵素の力によってタンパク質の汚れを分解させているからなのです。

化粧品に関しても同様であり、酵素の力で表面の古い角質を分解させてツルツルの肌にすることができるのです。

消化酵素プロテアーゼの3つの働き

ここからは、プロテアーゼが持つ大きな3つの働きを解説していきます。

1.タンパク質を分解し、栄養素を吸収できるようにする

タンパク質は、「炭水化物(糖質)」「脂質」から成り立つ三大栄養素の中で、もっとも消化するのが大変な栄養素です。炭水化物である白米やパスタ、脂質であるオリーブオイルやサラダオイル、タンパク質である肉や魚を思い浮かべてみると、何となくタンパク質が最も胃腸に負担がかかりそうだということが想像できるのではないでしょうか。

人間が消費するカロリーには、運動による代謝と生きているだけで消費する基礎代謝以外に、DIT(食事誘発性熱産生)というものがあります。簡単に言うと、食後に体温が上がる現象のこと。エネルギーや栄養素を補給するために食べ物を食べると、食べたものを消化・吸収するためにエネルギーが必要になるという現象です。

DITの高さは栄養素によって違いがあり、三大栄養素を比較すると、糖質は約6%、脂質が約4%なのに対して、タンパク質のみを食べた場合は摂取したエネルギーの約30%をDITとして消費してしまいます。[注1]

100kcalのタンパク質を食べると、消化吸収や代謝のために30kcalのエネルギーを使う必要がある、ということになります。食べたカロリーをほとんどそのまま栄養として吸収できる炭水化物や脂質と比べて、タンパク質はそれだけ消化するのにエネルギーが必要なのです。

プロテアーゼは、そんなタンパク質をペプチドやアミノ酸まで分解し、腸内で取り込みやすい状態にしてくれる酵素です。十分な量のプロテアーゼがあれば、消化するために多くのエネルギーを必要とするタンパク質も、栄養素として効率的に吸収できるようになりますよ。

2.消化を促進し、胸焼けや胃もたれ、便秘を予防する

胸やけや胃もたれの原因は、胃で十分に食べ物が消化されないこと。体温等で液状になりやすく、そもそも液体として摂取することの多い脂質や、唾液腺から消化酵素が分泌されるため、良く噛んでさえいれば胃に入った時点である程度消化されている炭水化物と違って、タンパク質の消化酵素が働くのは食べ物が胃に入ってからです。

他の栄養素よりも消化のタイミングが遅いこともあり、しっかり噛んでいなかったり、プロテアーゼが足りなかったりすると、タンパク質はいつまでも胃の中に残ってしまいます。だからこそ、タンパク質を多く摂ったときには、プロテアーゼを意識して摂取することも大切なのです。

少なくとも、十分にプロテアーゼが足りていればタンパク質の分解が妨げられることはありません。食べ物を胃に送る前にしっかり噛み、プロテアーゼを摂取すれば、たくさん食べても胸やけや胃もたれを心配せずに食事を楽しむことができるでしょう。

また、プロテアーゼが不足していると、タンパク質をペプチドやアミノ酸まで分解することができず、腸内に到達しても栄養素として吸収できなくなってしまいます。老廃物やガスが増え慢性的な便秘の原因にもなるため、便秘予防という点でもプロテアーゼは大切な役割を担っています。

3. 舌苔をきれいにし、口臭を予防する

プロテアーゼの一種である「アクチニジン」には、口臭予防効果も認められています。口臭の原因にも様々ありますが、多くの場合、口臭がするのは飲み込みきれなかった食べ物のカスが舌に残って舌苔が発生するからです。歯磨きを怠ると、食べ物のカスから歯周病菌や虫歯菌が発生して歯の病気になるように、舌苔があると口臭がします。

舌苔対策として良く利用されているのは、舌クリーナーや舌ブラシ。ただ、舌は凸凹していて隅々まで磨くのが難しく、奥のほうまでクリーナーを突っ込むとえずいてしまうのが難点です。

そこで注目されたのが、消化酵素であるプロテアーゼ。こびりついた舌苔の多くはタンパク質です。実際、江崎グリコ株式会社の研究所が新潟大学と共同で行った調査によると、植物由来のプロテアーゼを配合したタブレットを食べると舌苔がきれいになり、口臭を抑えることができるという結果が出ました。[注2][注3]

プロテアーゼが含まれている食材

ここでは、プロテアーゼの一種であるアクチニジン、フィカイン、パパイン、プロメラインが含まれている食材を紹介します。また、効率よく摂取するための調理法も併せて紹介していますのでご参考ください。

アクチニジン

アクチニジンが含まれている食材として、有名なのがキウイです。品種によってアクチニジンの含有量は異なり、ゴールデンキウイは少ないとされています。グリーンキウイは、ゴールデンキウイよりもアクチニジン含有量が多く、食物繊維も豊富です。

調理法の一例:そのまま生で食すのが、一番アクチニジンを摂取できます。ハーフカットし、直接スプーンですくって食べるのが一般的です。

しかし、原産地のオーストラリアや、ニュージーランドでは皮ごと食べる人も多いようです。キウイの皮には食物繊維やポリフェノールが豊富に含まれており、健康に良いとされています。もし皮ごと食べる場合は、スポンジで産毛と農薬を洗い落としてから食べましょう。

また、酸っぱい味が苦手な場合は、皮をむいてカットしたキウイをポリ袋やタッパーに入れ、新聞紙でくるんで一日置くと甘くなります。これは追熟といい、カットすることで果物に含まれているエチレンガスを発生させ、熟成させる方法です。

フィカイン

フィカインが含まれている成分で有名なのが、いちじくです。味としては甘みがある桃に近い触感と、ねっとりとした舌触りが特徴です。

また、種のぷちぷちとした食感も人気があり、ジャムやパン、スイーツなどで多く使われています。

調理方法の一例:いちじくの調理法として、スイーツに使われることが多いのですが、熱してしまうとフィカインが壊れてしまうため、なるべく熱を加えずに調理する必要があります。

いちじくはジャムやドライフルーツ、パンなどに多く含まれていますが、その殆どが熱処理されています。よって、最も確実なのは生食です。

青果店などで売られている西洋いちじくなら、水洗いだけで皮ごと食べることができるのでお勧めです。

そのまま食べるだけではなく、ソースとして活用するのもいいでしょう。細かく刻んだいちじくをペースト状にして、バルサミコ酢と混ぜることで酸味と甘味が効いたソースを作ることができます。

このソースは肉料理と相性がよく、酵素の力で肉を柔らかくすることができるのもポイントです。

パパイン

パパインは、パパイヤから発見された酵素です。植物由来の酵素の中では、最も研究が進んでいる成分としても知られています。

調理方法の一例:生で食べるのが一番です。パパイヤは、少し押すように触り、少々弾力を感じるぐらいが食べごろとされています。硬さを感じる場合は追熟で熟すのも効果的です。

そのまま食べても良いですが、サラダの具材にしたり、ヨーグルトと一緒に食べたりすることで、他の栄養素も効率良く取り込むことができます。他にも、ステーキなどの肉料理にパパイヤを載せることで、肉を柔らかくすることができます。

スムージーも、複数の野菜を手軽に摂り込むことが出来る調理法の1つです。パパイヤやバナナ、オレンジといった野菜を、牛乳と一緒にミキサーにかければ作れます。

簡単に作れるので、身支度の多い朝食時にうってつけの調理法です。

ブロメライン

プロメラインが多く含まれているもので有名なのが、パイナップルです。なお、缶詰で売られているパイナップルは加熱処理されているため、酵素がほぼ含まれていません。

パイナップルは果物の中ではめずらしく、一部の品種以外は追熟しない果物です。そのため、購入したらすぐに食べることが勧められます。

調理方法の一例:缶詰など、加熱処理されていないものを生で食べるのが最適な食べ方です。そのまま食べる他にも、スムージーにして飲んだり、アイスに混ぜて食べたりといった調理法も美味しく食べられます。

酢豚では、パイナップルが含まれていることが多いと思いますが、それはプロメラインの力で豚肉を柔らかくして食べやすくするためです。

もし、実際に酢豚を作るのであれば、酢豚を作った後にパイナップルを加えなければなりません。なぜなら、料理の過程で熱されてしまい、酵素が壊れてしまうからです。

加熱処理にご注意を

プロアテーゼの唯一の弱点は「加熱すると壊れてしまうこと」です。もともとフルーツや生野菜が好きな人なら食生活で問題なく摂取できますが、苦手な人の場合そうはいきません。プロアテーゼを含む食品は、酸味の強いフルーツや風味にクセのある野菜など、毎日摂取するのが難しいものも多いです。

また、加熱処理ができないプロアテーゼ食品は、凍らせてシャーベット状にしたりアイスに混ぜたりといった調理法がありますが、胃腸が弱い人はお腹を壊してしまわないよう注意してからお試しください。

胃への負担を軽減してくれるプロアテーゼを摂取するためにお腹を壊してしまっては元も子もありません。

毎日非加熱の食事だけを続けるとなると飽きてしまう可能性が高いので、デザート代わりにプロアテーゼを含むキウイやパインを食べつつ、補助食品を活用するのがお勧めです。プロアテーゼを含む食品は「ご褒美感覚」で食べて、足りない量をサプリメントやドリンクで補うと良いでしょう。食生活ですべてを補うとなるとカロリーやコストもかかりますが、サプリメントやドリンクを上手く使えば低カロリー低コストでプロアテーゼを摂取できますよ。

[注1]厚生労働省 e-ヘルスネット:食事誘発性熱産生/DIT

[注2]一般社団法人日本口腔衛生学会:プロテアーゼ配合タブレットの口臭抑制効果

[注3]公益社団法人 におい・かおり環境協会:プロテアーゼ含有凹凸タブレットの生理的口臭低減効果の検証